映画『レッドクリフ』の影響か。しかし、その前から日本では流行のようだ。
やまさき拓味氏の三国志もそんな中の1つである。
他の三国志ものとあまり変わらない。劉備を極端に平和主義者とし、いくさでも人を殺さないと設定したことと、
主従関係を若干変えた(黄忠は呉軍の将軍だったはず)などの味付けはあるが、迫力ある劇画調の絵以外は他と同じ様に
一瞬ののど越しを残して、野に埋もれてしまうもののようである。
その証拠に、3巻めまでで打ち切られている。しかも非常にきりが悪い終わりかただ。董卓を長安まで追って討伐するところで終わっている。
読者がついて来なかったのであろう。
私も、たぶん2度と読み返すことはないだろう。読み終えたら即、ブックオフ行きのかごへ放り込んだ。
しかし……
思想性やテーマを考えたとき、三国志をどう料理すれば良いのだ。作者が苦心惨憺する様子が手に取るようにわかる。
たぶん、これは流行にのった編集者側からの依頼だったと思われる。それをアレンジするときの苦心がわかる気がする。
作中でも、鳥を使う姉妹や、人を襲う野猿の群れなど作者オリジナルのストーリーが展開するが、三国志という既に出来上がっているものを追わないわけにはいかないのだ。
この作品は、作者としても失敗作だと思っているだろうが、何とかする手立てはあったのだろうか?
ドラマトゥルギーを考える時、枷を嵌められた状態でなおかつオリジナリティを要求された場合どう料理すれば良いのだ。
読者はサイダーの一瞬の清涼感を求めているのだから、これで仕方なかったのだろうか?
考えさせられる、1冊である。
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