2012年3月16日金曜日

3001年終局への旅 アーサー・C・クラーク

ハードカバー版です
久しぶりにSFを読んだって感じだ。
本作は、『2001年宇宙の旅』、『2010年宇宙の旅』、『2061年宇宙の旅』に続くシリーズの続編であり、最終編でもある。
この本は、ブックオフで105円で手に入れた。ハードカバーでこの金額だ。
この巨匠の作品が、この値段で手に入る。1997年7月31日の初版だった。SFがいかに人気が無いかわかろうと言うもんだ。
他にも有名処のSFは置いていない。『ガニメデの優しい巨人』が読みたかったのだが、何件探しても見つからなかった。SF自体が無いのだ。
小松左京先生の作品もない。まったく、寂しいかぎりである。
SFは、その荒唐無稽さが良いのだが、アーサー・C・クラークに関してはその科学的正確さが良い。
知ってましたか。通信衛星の発案者はクラークなんですよ。
でも、まぁ今回の舞台が1000年後の30世紀なので、科学公証は難しいですね。
だから、機械がどのくらい発達しているかはともかくとして、生物学的には1000年経っても変わらないだろうから、
21世紀の人間と話が出来るくらい科学が発達している社会という舞台設定にしている。

私は、『2001年宇宙の旅』、『2010年宇宙の旅』は実は読んでいない。2本とも映画で観た。
『2001年宇宙の旅』はいわずと知れたスタンリー・キューブリックの名作。
見てない人の為に解説すると、
400万年前、アフリカの猿の群れの前に『モノリス』が現れる。『モノリス』は黒い不思議な板で1匹の猿がそれに触れると武器を作って狩を飛躍的に向上させ、
競争者も蹴落とす。『モノリス』には、進化を促進する力があるようだ。
そして21世紀。2001年に月で第2の『モノリス』が発見される。その『モノリス』は木星に向けて何かを発信していた。
それを探査するため、アメリカがディスカバリー号を木星に向かわせる。
船長にデイブ・ボーマン、副長にフランク・プール。そして船内制御コンピュータ『ハル』。
木星軌道に入る前に『ハル」の制御がきかなくなり、人口冬眠していた科学者たちの生命維持装置を切って死なせてしまう。さらにボーマンとプールの殺害も謀ろうとする。
それに気付いたボーマンたちは、何とか『ハル』を出し抜いて機能を止めようとする。
『ハル』は、船外活動艇に乗ろうとするプールを宇宙空間に放り出す。
何とか、『ハル』の活動を止めたボーマンは『モノリス』の影響を受けて人間ではない存在になる。
ここまでが2001年。これが公開されたのが1966年ごろだったから、結構凄いでしょ。でも現実には2001年にはまだ月に基地は出来てないし
『ハル』のようなコンピュータも出来てないけど、当時の想像力から2001年を見通す力は凄いと思うよ。
次に2010年。
アメリカとソ連が冷戦状態から一即触発の状態に陥っている世界。(ソ連がこの頃まであると思っていたんだね)
木星軌道付近を漂っているディスカバリー号が木星に引き寄せられていることが判明する。
ディスカバリーを木星に送ったフロイド博士は、ソ連のレオーノス号に便乗して木星に向かう。ディスカバリー号とランデブーしてディスカバリー号の機能回復を
図ろうとする。そこにいたるまでのスペクタクルが、木星の大気をクッションに使って軌道を修正するフライバイだ。レオーノフ号が火の玉になって飛行する。
そんなこんながあって、ディスカバリーの機能を回復したが、地球ではアメリカとソ連がついに衝突する。それは宇宙空間でも適用されレオーノフのソ連クルーと
冷戦状態になる。
そんな時、ボーマンの亡霊が現れ、木星宙域から脱出するように忠告する。
『モノリス』により、木星が爆発し、第2の太陽『ルシファー』が誕生する。ボーマンの忠告によりディスカバリー号とレオーノフ号は爆発の衝撃波から逃れる。
『ルシファー』は、地球に恵みをもたらして、米ソは和解し平和が訪れる。(はっきり言って、『ルシファー』の誕生と地球の平和との関係は私にもわからない)
『モノリス』は人類に告げる。『ルシファー』は自由に使って良い。ただし、衛星エウロパには近づくな。
2061年はまだ、未読です。映画もないと思う。どこかの図書館にあったと思うが・・・・・・
ハレー彗星に進化の鍵を解く物質があってそれを探査するためにハレー彗星に着陸する話だったような気がする。
そして、3001年終局への旅。これが完結編である。
さて、ストーリーだが今回の主人公はディスカバリー号の副長だったフランク・プールが3001年に海王星軌道付近を漂っているところをコメットハンター
の船に助けられるところから始まる。
プールはは30世紀の医学により蘇生する。30世紀の様子を丹念に描いていくが、先ほど書いたように21世紀人のプールに合わせるように31世紀人がしてくれる
ので、違和感が無いようになっている。うまい構成だ。
興味を引いたのが、超高層ビルの屋上で庭師をしているベロキラプトルだ。この無害な恐竜の使い方が面白い。
たぶん作者は『ジュラシックパーク』を観ている。
後半は、プールがエウロパに着陸し、『モノリス』の目的を探ろうとする。
その結果、人類は未完成だと判断した『モノリス』の持ち主によって刈り取られようとしていることが判明する。
人類は中途半端だ。一貫した思考力を発揮することが出来ない。と『モノリス』は21世紀に500光年彼方の指令所に発信した。
その返信が500年かかって太陽系の『モノリス』に届けられると人類の刈り取り作業が始まってしまう。
プールは、ボーマンの亡霊の力を借りて、『モノリス』にコンピュータウイルスを仕掛けることに成功する。
エピローグにこうある。
宇宙はまだ若く、その神はまだ幼い。判定を下すにはまだ早すぎる。

1 件のコメント:

  1. 「2001宇宙の旅」を青春時代のただ中で見た空想老人です「人類は絶滅へ向けて発展している」そのピークはすぐそこで、あと千年はとてももたないのでは・・ここで語られる生身の人間とコンピユーターとの葛藤がテーマのようですが、もはや人類を越えた性能のロボット同士の対立といった味気ない葛藤かも(数月前のNational Gyo-Graphis誌の火星探検記事では隊員は全部ロボット 千年後人類絶滅に際してロボットが残されて・・)

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