2012年3月16日金曜日
漱石と倫敦ミイラ殺人事件 島田荘司
入院中なので、本の現物がありません。
うろ覚えなので、間違っているかもしれません、
その場合は、退院したら、内容を確認して訂正します。
さて、島田荘司さんはいつも大掛かりなトリックを用意されるのですが、今回はトリックそのものは小粒。
代わりに用意したのは時代背景と設定。
夏目漱石がロンドンに海外修行に行った時期とベイカー街の住人、シャーロックホームズとワトソンをシンクロさせた作品。
読者、特にシャーロキアンに対してサービス大盛。
厳密に言えば、ホームズはもう少し前の時代かな。
話の狂言廻しは、夏目漱石の目からと、ホームズの奇行を抑えるワトソンの目からと、双方のサイドから描かれる。
同じものを見る場合でも、その対比は非常に面白い。
事件はある資産家の未亡人が、幼い頃生き別れた弟を探し屋(そんな商売もあるんだ)に探させてスコットランドの方から探してくる。
その弟が幽鬼のように痩せており、部屋を線香とかの煙で充満させ冬だというのに暖房を入れさせない。
そういった奇行を繰り返してある日、死んでしまう。
その死体が、極端に小さく黒ずんでしまっている。
未亡人はそれを見て、発狂してしまう。
なかなか、怪奇趣味のミステリィでしょう。
それを、ホームズと頭脳明晰な漱石の視点の双方から書き込んで行き、大団円は見事に一本に纏まる。
小品ながらもいろいろな風味を楽しめる一編である。
犯人を罠にかけるため、懸賞付きの新聞広告を出すのだが、その辺は『赤ヒゲ同盟』のパロディでなかなか楽しい。
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