2012年4月17日火曜日
ここまでわかった!恐竜の真実 ヒサクニヒコ
この本は、油断ならない。
恐竜の研究で現在の恐竜認識を書いた本をさんざん読んだけど、それらの本と少し視点が違うんだよね。
ここでも、眼から鱗が落ちるところがある。
恐竜化石の発掘競争の話。
マーシュとコープがアメリカ西部で激しく発掘競争していたはなしは有名だけど、それが、西部劇もどきの状態だったってこと。
場所がモンタナやダコタで年代が1870年代だったら、インディアン戦争の真っ最中だよね。
カスター将軍が、スーとシャイアンの連合軍に全滅させられた場所のすぐ近くで発掘が行なわれていた。
場所と年代で想像出来たはずなのだが、西部劇さながら展開がされていたのだ。
発掘隊は、6連発リボルバー拳銃を腰にさし、ウィンチェスターライフルで武装して作業を行なっていた。治安が悪い西部でのことだ。
西部劇のドラマがビジュアルで浮かぶ。
また、1922年にモンゴルに送られた化石発掘調査団のはなし。
この時代背景は、共産党と国民党が争い軍閥が辺境を闊歩する時代である。
発掘隊は、機関銃やカービン銃で武装して、山賊が襲ってきたときはためらわず武器を使った。
まるで、冒険小説だ。
発想がひとつふたつ浮かんでくる。
時代と場所を考えると、当然なのだけど、恐竜から離れているから発想できなかったのである。
恐竜は、ジュラ紀、白亜紀に生きて生活していた。
当然、のろまでは生き残れない。化石を残したくらいだから、生活圏を持っていたはずである。
化石から想像できることに限界があるが、生物としての恐竜を生態系で捉えないと全体を把握できないということだ。
この作者は、この本の構成をよく練っている。
単なる、ネタ本やノウハウ本にしていない。
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